山並み(210909)                               G6

東山魁夷画伯に「残照」と言う作品がある。遠くの山に微かに夕陽の残る、広大な山並みの連なる風景を描いた名画である。

数年前、鹿野の奥、長野山緑地公園のPR記事に触発されてかの地を訪れた。そして目的地のちょっと手前で、視界の開けた、雄大なこの景色に出合った。その時に頭に浮かんだのが「残照」であった。

それから数年。前回よりも周辺に木が生い茂っていたように思ったが、高原の涼しい風の中、流れる雲の影で刻々印象が移り変わるが、なんとか描いたのがこの絵である。

名画たるものは、こうした何枚ものスケッチを元に様々な思いを巡らせ、或る心象風景にまで昇華させるのであろうが、その時その時の印象をスケッチとして残す私にはそんな作業はとてもできない。これで充分。

 

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